北海道演劇財団では、劇場に人が集まることのできない今
外出自粛を余儀なくされている道民の皆さんに
せめて、過去に上演した作品の記録映像を皆さんに見ていただこうと
ウェブ上で期間限定無料限定配信を行います。

第一回配信作品は
札幌座作品6タイトル、劇のたまご作品2タイトル、合計8タイトルです。
「西線11条のアリア」
「霜月小夜曲」
「秋のソナチネ」
「蟹と彼女と隣の日本人」
「北緯43°のワーニャ」
「清き田に咲くナンミョーほうれん草」
劇のたまご「ぐりぐりグリム第一章～おかしな森のヘンゼルとグレーテル」
劇のたまご「ぐりぐりグリム第二章～シンデレラ」

以下、今回の期間限定無料配信にあたっての芸術監督・斎藤歩からのコメントです。

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2月28日に「虹と雪、慟哭のカッコウ」の上演を、残り3ステージを残し中止を決断した時、4月末、桜の咲く頃には、この状況も改善していて欲しいと願って中止を決断しました。
今、その時期になり、北海道は「二次感染」と呼ばれるように、感染拡大期に入ってしまっているようにも感じます。そんな中、北海道演劇財団事務局も、ついにテレワーク体制を取っています。
人が集まることができない、そんな状況は、私たち演劇人にとって手も足も出ない状況です。しかし、札幌座の俳優たちには、毎日私から課題を出し、インターネットを使って、テキストを読むトレーニングを継続していて、こんな時にしかチェックできない様々なルーティーンを与え、個別に新しい課題を発見して、稽古を続けています。出口が見えない中でも発信できることの準備も始めました。また、一度見えかけた出口が再び見えづらい現状ではありますが、いつ、出口が見え始めても間に合うように、次の作品への準備も行っています。
こうしたインターネットを介した俳優や劇作家、演出家とのやり取りから、今、予定にはなかった作品も生まれつつあり、劇場に皆さんをお招きできる日に備えています。

一方で、いつも劇場に足を運んでくださった皆さんや、学校へ通うこともできず、外で思い切り遊ぶことも、お友達と会うこともできないまだ小さい皆さんとも何か、一緒に感じ合えることはないかと考え、せめてレパートリー作品の記録映像を一緒に観て頂こうと、今回、期間限定で、無料配信させていただくことにしました。

元来私は、演劇を映像で観ることはしません。劇場で私が演劇を観る時、映像で切り取られるようなところは観ていなかったりすることが多いんです。耳で聞こえる台詞を喋っている俳優よりも、その台詞を聞かされている俳優を見ていたり、全く聞いちゃいない俳優を観ていたりすることの方が多いです。特に私が創る演劇作品は、劇場で生で観て面白いように私の演劇は創られているので、記録映像を観ても私が面白いと思っている部分が伝わるわけがない思っているからです。
私は映画の仕事もしているため、映像として届ける作品を創る苦労は知っているつもりです。膨大な時間をかけた準備、そして撮影、更に莫大な時間と手間をかけた仕上げを経て、映画作品はスクリーンに投影されたり、配信されたりします。だから映画にはそれなりの対価を支払って観る価値があると考えています。
私たちの手元にある私たちの舞台を映した映像は、上映されたり配信されたりするために作られたものではありません。音声も含め、記録として撮影されたものです。ですのでこの記録映像を皆さんに見てもらうことには抵抗があったのです。
しかし、このような状況です。こんな記録映像でも、もし無料で観ていただけるのであれば、期間限定でお届けし、共有しようと決意しました。

明日、5月1日から約3週間の期間に限定させていただきます。（これ以上この状況が続かないことを願いつつ）

今回の無料配信に快く同意してくれた、多くの皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。
また記録映像の編集・配信に協力してくれたHBC FLEXの山口ゆかりさん
本当にありがとうございました。

どうか、ゴールデンウィーク中を含め、北海道の皆さんで頑張って、じっとこらえて
早く、皆さんと劇場で会える日が来ることを、心より願っています。

2020年4月30日
公益財団法人 北海道演劇財団
芸術監督 斎藤 歩