オツベルの象たち

このお芝居について

大学に行きたくたって
入学金すら払えねぇ
おかげでこっちはバイト地獄

第69回全道高等学校演劇発表大会で優秀賞を受賞した
新篠津高等養護学校の演劇部による「オツベルの象たち」を
シアターZOOの特別企画公演「高校演劇解放区第2弾」として上演します。

1926年に雑誌「月曜」に発表された宮沢賢治の短編童話で
教科書にも広く採用されているので目にした方も多い物語です。
ある日、冷酷な地主オツベルの工場に大きな白い象が訪れたことから物語は始まります。
労働を楽しむ像を苛酷に扱うオツベル。
徐々に衰弱する象は「月」の助言で仲間たちに手紙を書いて助けを求めるという物語です。

少子化や高齢化社会による労働人口減少やそれに伴う外国人材の受け入れ、
各分野における人工知能の導入など、目まぐるしく変わる今の社会情勢。
また一億総活躍社会の旗のもと、民間企業における障がい者の法定雇用率は
2.0%から2.2%へと引き上げられました。
特別支援学校の卒業生は、様々な公的・私的なサポートを受けながら生活をして行きますが
その、社会のひずみに残された存在に目を向けた作品です。

経済的に厳しい家庭環境の高校生や大学生は掛け持ちのアルバイトに
心も体も疲弊して行く現実があります。
周囲に支えられて生きて行くことを受け入れている高等養護学校を卒業した少年と
バイト地獄を必死に生きる高校生が出会ったとき
高校生が決して気づきたくなかった感情が芽生えた。