2020秋の別役劇祭
札幌座Pit、劇団清水企画、座れら、鳩と狼
シアターZOO企画公演
このお芝居について
札幌の中年演出家4組が別役実の戯曲から
4作品を創作し交互に上演する2週間
「2020秋の別役劇祭」です。
2020年3月3日に82歳で亡くなった、わが国の演劇界の巨匠・別役実さんの戯曲を、札幌の4人の演出家が4作品を競作。シアターZOOで2週間にわたって交互に上演します。
一本の電信柱だけ、一つの段ボール箱だけ、一つの卓袱台だけ、バス停だけ…微かな拠り所だけが存在する舞台上に人間が立ち現れ言葉を発すると、日常風景が珍妙に歪み始める作劇で、日本の演劇シーンに多大な影響を及ぼした劇作家です。
その生涯に書かれ発表された戯曲は144作品。その中から、清水友陽の演出による劇団清水企画が「壊れた風景」、横尾寛の演出による鳩と狼が「諸国を遍歴する二人の騎士の物語~ドン・キホーテより~」、戸塚直人をはじめとする3名の演出による座・れらが「寝られます」、斎藤歩の演出で札幌座Pitが「虫たちの日」を上演。
別役実さんの劇世界を、コロナ禍が渦巻く秋の札幌に現わします。
演出家からのメッセージ
札幌座Pit 斎藤歩
別役さんとは2度ほどお目にかかったことがあります。大きな人でした。私と同じぐらいかそれ以上かと思える背丈と背幅があり、その大きな背中に圧倒された記憶があります。物静かで岩のような人という印象でした。札幌で日本劇作家協会の劇作家大会が盛大に開催された1999年。当時劇作家協会の会長だった別役さんが開会式セレモニーで、獅子舞に「頭をかじられる」という儀式がありました。あの大きな別役さんが壇上で跪き、獅子舞に頭をかじられている様に皆で腹を抱えて笑ったこともありました。そんな無礼な要求にも、にこやかに応じて下さる人でした。
別役さんの戯曲に貫いているユーモアと、人間の愚かしさに対する視座に私は随分鍛えられたと勝手に感じています。
人々がどうしたらいいのかわからなくなっているこの秋。春に別役さんを失った私たちは、別役さんが遺してくれた戯曲を改めて舞台化し、今の私たちの愚かしさをユーモアを持って見つめ直してやる必要を感じているのです。
劇団清水企画 清水友陽
昨年の冬に『天才バカボンのパパなのだ』を、劇団ひまわりの若い人たちと一緒につくったのだけれど、その時に、うちの劇団でやるんだったら何がいいかなと、別役戯曲を1日1作品ずつ読むということをやった。3ヶ月ほど続けているうちに気がついたのは「たくさん作品を書いたんだな」ということだ。そして、そのどれもが魅力的だということ。平和の鳩で10年以上前に『メリーさんの羊』を横尾とやって、その後、札幌の俳優何人かに声をかけて『壊れた風景』を読んだ。結局、上演をすることはなかったけれど、ずっと気になっていた作品の1つだった。だから、今回はそれをやることにした。私は、家で戯曲を読む時には、声に出して読むことが多い。そうしないと誰が誰だがわからなくなるから。で、別役さんの戯曲やエッセイを読んだ後は、つい真似をしてしまう。口をつく。その言葉運びが、魅力なんだなと思う。
座れら 戸塚直人
別役戯曲は普段の会話だ。いつの間にかすれ違っているし、だいたい腑に落ちなくても話しは進む。面と向き合ったからといって、あなたが晩のおかずに気をとられていたなんて知る由もない。これが日常。
別役実氏が亡くなった。コロナウイルスなんていう愛らしい名前で全世界にこのうえないダメージをあたえた感染症の爆発的拡大の始まりの頃だ。
現下の日常は笑えない。笑えないマスク着用、笑えない休校措置、結果長い休みに飽き飽きして学校に行きたくなった笑えない子供たち、笑う気すらおきない新しい生活様式、で、笑いごとでない自粛警察。
だから、別役実の不条理は笑えるゆえにいとおしい。
座・れら別役実チャレンジも4年目に入った。今回の主な不条理は、役者2人に演出3人ということ。いったいどこに着地するのか?
世界は不条理に満ちている。世界そのものが不条理か。そして私たちは生きている。ヤなことばかりだが、たまに面白い。
鳩と狼 横尾寛
○○に個人の事情を持ち込むな、などと言う。我々だと例えば「稽古場に家庭の事情を持ち込むな!」ということになる。たしかに誰かさんのショーモナイ事情で創作が滞ることがあったらそれは勘弁してくれよと思うのだが、何やら事情を抱え込んだ俳優が舞台に立ちつくす姿はとても興味深かったりもする。勝手なものだ。
私は劇場とは演劇とは、見る者と作る者、そして劇中のモノたちの事情が交錯する場だと考えている。交錯の角度や深度は様々だが、言葉だけでは表しきれぬ事情を抱えた他者どうしが、あるとき、もしかしたら交わり触れ合うことがあるのではないか、そんなかすかな希望を持っている。
別役作品に触れる時に思うのは、事情を抱えた人物、状況の中見え隠れする聞き取り難い事情、それらへの作者の強い興味だ。
状況が個を覆い隠してしまうかのような今、別役さんの不在を想いながら、もし皆様の事情が許せば劇場でお会いできれば幸いです。
作者 | 別役実 |
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演出 | 札幌座Pit:斎藤歩/劇団清水企画:清水友陽/座れら:戸塚直人・小沼なつき・竹江維子/鳩と狼:横尾寛 |
キャスト | 札幌座Pit「虫たちの日」
納谷真大・西田薫 劇団清水企画「壊れた風景」 赤坂嘉謙・中塚有里・畑山洋子・清水友陽・三瓶竜大(劇団清水企画/ポケット企画)・中野葉月(劇団ひまわり)・田中雪葉(劇団ひまわり) 座れら「寝られます」 西村知津子(劇団にれ)・工藤康司 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語 ~ドン・キホーテより~」 滝沢修・亀井健・佐藤剛・大和田舞・高橋雲・伊達昌俊・森舞子・百餅・きくぞう |
公演日程表 | 2020年
10月7日(水) __ 14:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」 10月8日(木) __ 14:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」 __ 20:00~ 劇団清水企画「壊れた風景」 10月9日(金) __ 20:00~ 座れら「寝られます」 10月10日(土) __ 14:00~ 座れら「寝られます」 __ 16:00~ 劇団清水企画「壊れた風景」 __ 18:00~ 座れら「寝られます」 __ 20:00~ 劇団清水企画「壊れた風景」 10月11日(日) __ 11:00~ 座れら「寝られます」 __ 14:00~ 劇団清水企画「壊れた風景」 __ 16:00~ 座れら「寝られます」 10月12日(月) __ 休演日 10月13日(火) __ 17:00~ 劇団清水企画「壊れた風景」 __ 20:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 10月14日(水) __ 20:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 10月15日(木) __ 13:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」 __ 15:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 __ 18:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」 __ 20:00~ 座れら「寝られます」 10月16日(金) __ 14:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」 __ 17:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 __ 20:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」⇒前売券が売切れました(当日券もありません) 10月17日(土) __ 12:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」⇒前売券が売切れました(当日券もありません) __ 14:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 __ 17:00~ 劇団清水企画「壊れた風景」 __ 19:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 10月18日(日) __ 12:00~ 札幌座Pit「虫たちの日」⇒前売券が売切れました(当日券もありません) __ 14:00~ 座れら「寝られます」⇒前売券が売切れました(当日券もありません) __ 16:00~ 鳩と狼「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」 |
チケット料金 | 前売当日共通・日時指定・全席自由・税込
※未就学児の入場不可 ※学生・高校生以下の方は学生証提示 【一般】 1回券:2,800円 2回券:4,000円 3回券:6,800円 4回券:8,000円 【学生】 1回券:1,500円 2回券:2,000円 3回券:3,500円 4回券:4,000円 【高校生以下】 1回券:500円 2回券:1,000円 3回券:1,500円 4回券:2,000円 |
チケットの取り扱い | 北海道演劇財団
TEL 011-520-0710(平日10:00~18:00) Mail office@h-paf.ne.jp PayPay、Jcoinのキャッシュレス決済がご利用可能です。 |
お問い合わせ | 北海道演劇財団
TEL 011-520-0710(平日10:00~18:00) Mail office@h-paf.ne.jp |
主催 | 北海道演劇財団 |
共催 | 札幌座・劇団清水企画・座れら・鳩と狼 |
協力 | 制作協力:tatt.inc |
企画制作 | 北海道演劇財団 |